伝説
韋駄菩薩のもっとも有名な伝説は「捷疾鬼(しょうしつき)が仏牙を盗む」話です。言い伝えでは、仏陀が涅槃に入ったのち、天の神々が沙羅双樹の下に集まって仏牙舎利を迎え奉ろうとしていました。皆が悲しみに暮れて油断したその隙に、捷疾鬼が身をひるがえして仏牙を盗み、一目散に逃げ出します。それを聞いた韋駄天は金の甲冑をまとい、宝杵をつかんで追跡を始めました。捷疾鬼がどれほど速く、どれほど遠くへ逃げようと、ぴたりと食らいついて離れず、ついに仏牙を取り戻して仏塔へ返したのです。以来、韋駄は護法神として尊ばれます。正法が脅かされれば、どこまでも追いかけるのです。
また、韋駄をインドの軍神「鳩摩羅天(くまらてん)」と結びつける説もあり、その原型は孔雀に乗り、多くの顔と腕を持つ天神です。仏教が東へ伝わると、韋駄は端正で勇ましい中国の武将の姿に変わり、明・清の時代に仏教とともに海を渡って台湾へ来ました。今日も台湾の仏寺の山門の奥には、千年追いつづけてきたこの将軍が立っています。
