韋駄菩薩
仏教の護法神・寺院の守護・邪魔の駆逐

韋駄菩薩

韋駄天 | 韋将軍

紹介

台湾の仏寺に入ると、まず目に入るのはにこやかな弥勒。ところが振り返ると、金の甲冑をまとった武将が杵を手に、本堂の方を向いて立っています——これが韋駄菩薩(いだぼさつ)、韋駄天、韋将軍とも呼ばれる、漢伝仏教でもっとも有名な護法神です。弥勒は外を向いて客を迎え、韋駄は内を向いて寺を守る。「寺に入ればまず弥勒、振り返れば韋駄」というのが天王殿の伝統的な配置です。その務めは仏法を護り、寺院を守り、魔軍を降すこと。通な人はもう一つの細部に注目します。韋駄が手にする金剛杵の構え方が、その寺の掛単(かたん。行脚僧の宿泊受け入れ)の決まりを示しているのです。杵を両腕の上に横たえていれば行脚僧を三日間受け入れ、腰のあたりに立てていれば一日、杵を地に突いていれば掛単はお断り。次に仏寺の山門をくぐったら、この寡黙な門番の将軍をぜひ振り返って見てください。

伝説

韋駄菩薩のもっとも有名な伝説は「捷疾鬼(しょうしつき)が仏牙を盗む」話です。言い伝えでは、仏陀が涅槃に入ったのち、天の神々が沙羅双樹の下に集まって仏牙舎利を迎え奉ろうとしていました。皆が悲しみに暮れて油断したその隙に、捷疾鬼が身をひるがえして仏牙を盗み、一目散に逃げ出します。それを聞いた韋駄天は金の甲冑をまとい、宝杵をつかんで追跡を始めました。捷疾鬼がどれほど速く、どれほど遠くへ逃げようと、ぴたりと食らいついて離れず、ついに仏牙を取り戻して仏塔へ返したのです。以来、韋駄は護法神として尊ばれます。正法が脅かされれば、どこまでも追いかけるのです。

また、韋駄をインドの軍神「鳩摩羅天(くまらてん)」と結びつける説もあり、その原型は孔雀に乗り、多くの顔と腕を持つ天神です。仏教が東へ伝わると、韋駄は端正で勇ましい中国の武将の姿に変わり、明・清の時代に仏教とともに海を渡って台湾へ来ました。今日も台湾の仏寺の山門の奥には、千年追いつづけてきたこの将軍が立っています。

参拝作法

韋駄菩薩は寺院の護法神であって、願いごとの窓口ではありません。信者が金運や縁結びといった個人的なことを願うことはほとんどなく、多くは仏道の精進、修行が後退しないこと、仏法の護持を祈ります。お供えは菜食が中心で、清浄灯を灯したり、『般若心経』や韋駄真言を唱えたりします。仏弟子は帰依や受戒の前に、まず韋駄菩薩に敬意を表し、仏法の導きと護持を受ける意志を示すこともよくあります。佛光山(ぶっこうざん)、法鼓山(ほうこざん)、中台禅寺(ちゅうだいぜんじ)といった大道場を訪れたら、天王殿で少し足を止め、韋駄が金剛杵をどう持っているかを見てみてください。それはその寺が行脚僧をどう迎えるかを告げる無言の掲示であり、台湾の仏寺でいちばん面白い見どころの一つでもあります。

祭日

韋駄菩薩聖誕:旧暦六月三日。各地の仏教寺院でこの日に祝典が営まれ、読経、『韋駄菩薩讃』の読誦、放生などの儀式が行われます。

仏誕節(旧暦四月八日):浴仏節の期間には、仏陀の護法神である韋駄菩薩も礼敬を受け、一部の寺院では浴仏法会の中で韋駄真言をあわせて唱えます。

寺院の新築・開光の儀式:寺院を新築・改修したり、開光(開眼)を行ったりする際、韋駄菩薩は必ず礼敬すべき対象の一つで、これからの護持を祈ることを象徴しています。

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