伝説
虎爺が神として祀られるようになった伝説には複数の版本があり、最も広く伝わるのは「保生大帝が虎を救う」物語です。
伝承によれば、保生大帝(呉夲、神格化された名医)が山中で薬草を採集していた時、苦しそうにうずくまる虎に出会いました。よく見ると、虎の喉には人骨が刺さっていました。これはその虎がかつて人を襲って食べた因果応報だったといいます。普通の旅人なら虎から逃げますが、保生大帝は慈悲をもって骨を抜き取り、「今後は決して人を傷つけてはならない」と諭しました。
命を救われた虎は深く感謝し、自ら保生大帝の従者となり、人を傷つけぬのみならず、神力をもって人類を守護することを誓いました。それ以来、この虎は保生大帝の乗り物となり、「黒虎将軍」または「虎爺」として祀られるようになりました。
別の伝承では、道教の祖師である張天師(張道陵)が山中の人を襲う虎を調伏し、教えに帰依させて護法神としたとされます。
どの版本にも共通するのは、台湾民間における「動物にも霊性があり、修行や教化によって神格化されうる」という世界観であり、自然への畏敬の念が反映されています。
